フランス額装と断捨離

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今回は額装と・・・”ダンシャリ”について少し考えてみたいと思います。

Kinfolkの最新号の特集“Essential”(日常で“なくてはならないもの”)を読んだり、
お片づけの本とかパラパラ読んでみたりして、流行りの断捨離についてちょっと考えてみました。
(断捨離については以前雑誌の特集も読んだりして常に頭の片隅で考えてはいます)

で、毎回思い至ることは、額装と断捨離(とか本質主義)って、なかなか相容れないものなんじゃないかな、ということです。

もちろん、断捨離やらお片づけやら本質主義やらにはそれぞれその人のなりの定義があって、
一概にこれが正しいというものがあるわけではないですが、
根底にあるのは人生にとって”必要なもの”と”そうでないもの”を分けることなんじゃないかなと思います。

ただ、額装にあてはめてみると、この”必要なもの”と”そうでないもの”の差がなかなか判別できなかったりします。

当然のことですが心のどこかでは身軽になりたい、部屋をきれいに整理したい、
といった願望は人並みにあるつもりなのですが、

額装をしていると心のどこかで内なる声が・・・ゴミこそ宝の山だったりする・・・
みたいなことを語りかけてきたりします。

ちょっと前に不要になったモバイル機器の山のなかにレアメタルとかが含まれていて、
実は廃棄処分になるものが宝の山だったりするみたいなニュースがありましたが、
額装にとってもこれはけっこうあてはまることで、
「これもういらないよね」と思っていたものがある日突然額装の素材となって光り輝いたりすることがあったりします。

この価値の難しいところは、宝石の原石みたいに磨いたら必ず価値が出てくる、とかいうものではなくて、
ものの見方というか捉え方みたいなものが変わると、突如として価値が現れるみたいな奇妙な性質を持っているため、
ゴミと呼んでもいい状態で価値を推し量ることができないことにあります。

たとえばずっと置いている外国土産のお菓子の空箱があったとして、
それはそのまま置いていればただのゴミか引き出しの肥やしみたいなものですが、
ある日、それをドキュモンとして作品を作りたいなと思ったらダイアモンドみたいな価値が
(その人にとって)
出てくるというわけです。

そしてそれはお菓子の箱だけじゃなく、それを包んでいた包装紙だったり、
リボンだったり、シールだったり、お店のショップカードだったり、と、
残しておかなくてはならないものが次から次へと出て来ます。

もし作品を作るなら材料は大いにこしたことはありませんから、なんでも残しておきたくなるものです。

でも、じゃあそれを全部作品にするのだろうか、とふと悩み出すとやっぱりそれはどうかなあ?と思ったりもします。

作品を作るのってふとしたタイミングみたいなもので、
そのタイミングは生きているあいだに訪れるかどうか自分でもぜんぜんわからなかったりするものです。

ただそんなタイミングは永遠に訪れないよね、と思って捨ててしまうと、
あとで使いたくなったときになんであのとき捨ててしまったんだろう?と後悔の念に苛まれます。
それがまあ買えるものならショックはすくないですが、世の中のものがすべてお金で買えるとはかぎらないからむずかしい。

そして、そのものがはっきりとドキュモンになりそうなものならそれほど悩んだりしませんが、
それがたとえば小さな紙の切れ端だったり、珍しい色の輪ゴムだったり、といった見るからに価値のなさそうなものだと本気で捨てるべきか悩むことになります。「こんなのほんとにあとで使うのかな?」と。

経験的なことをいうと、これまでに何年かに一度の頻度でこうした断捨離的な気分に突如として襲われて、身の回りのものをいろいろ整理したりしてきました。でもたいていはあとになって、なんであれがないんだろう? とかどうして捨ててしまったんだろう? と思うことがしばしばあります。頭のなかで絶対この包装紙は引き出しにしまっておいたはずだと思っても、整理したときについでに捨ててしまったりしていて、もう存在しないものを家のなかで延々と探していたりということもあります。

ものを少なくするミニマルな生活に憧れますが、同時に額装に打ち込もうとすると(これはコラージュとかシャドウボックスをやっている人なんかも同じだと思いますが)、ものを残しておくべきか捨てるべきかという難問に困惑してしまうことになります。ハムレット風にいえば”捨てるべきか残すべきか、それが問題だ”みたいな感じ。

ということで、本日も道具の整理をしながら、本格的な断捨離に踏み切るべきか小一時間悩んでいました。
ただやはりというか収集することが額装のひとつのたのしみだったりするので、きっといつまでたっても捨てられなかったりするんだろうな、と内心思っていたりします。


2015年07月02日 | Posted in コラム | | No Comments » 

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