Encadreur N°9 – New York City Map(ニューヨーク・シティ・マップ)

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もう何年も前のことだけど冬のニューヨークを旅したことがある。クリスマス・シーズンの直前で街はイルミネーションで飾られていてとても華やかだったけど、実際にはわりと大きな寒波が来ていてとにかく寒かったという記憶しかない。

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その短い滞在のさなか、ぽっかりと1日だけ予定のない空き時間ができた僕はコートに身を包んで、ニューヨークの街を歩くことにした。沢木耕太郎さんが『深夜特急』のなかで書いているような感じで宿泊していたホテルからふらっと気の赴いた方向へ歩を進めた。といっても、ニューヨークの街は『深夜特急』のなかで描かれる香港やデリーとはちがうし、土地勘はなくともマンハッタンのかたちは頭のなかにすっぽりと入っていたから迷わない自信はあった。余談だけれども、その昔『パラサイト・イヴ』というプレイステーション用のゲームにはまったことがあって、そのゲームはちょうどニューヨークのマンハッタン島のなかで起きた事件を解決していくという内容だったので、観光地を舞台にした映画と同じような感じでちょっとしたニューヨークの観光案内というか名所巡りの側面があったから、ゲームをプレイしたことでマンハッタン全体の構造に不思議と馴染みのようなものもあった。

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レイディオ・シティ・ミュージック・ホールを抜けて高級ブティックが並ぶ五番街に出ると北へと足を向けた。Apple Storeの前を通り過ぎ、セントラル・パーク沿いを歩く馬車の姿を眺めた。マンハッタンはいくらか例外はあるけれど、概ね碁盤の目のようにきちんとした区画になっているので、街の構造を理解するのはそう難しいことではなかったりする。僕はコーナーを曲がり、東の方角へと向かった。大通り特有の喧騒や雑踏があまり好きではないからだった。パーク・アヴェニューを通り過ぎてレキシントン・アヴェニューくらいまでやってくるといささか拍子抜けしてしまうくらい穏やかな感じの住宅街の景色が姿をあらわす。並木道沿いには小さな学校があったりして子供たちのとても平和な歓声が聞こえてくる。通り沿いにはとてもチャーミングな花屋があったりして不思議と日常の世界に戻ってきた気分になる。

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軽いランチを食べたあと僕は西側に戻りマディソン・アヴェニューを北上してホイットニー美術館(*現在はミート・パッキング・ディストリクトに移転)でポロックとホッパーの作品を鑑賞した(数日後に館内でスティーヴ・ライヒがパフォーマンスをするという貼り紙広告を見てちょっとだけ後悔した)。美術館を出るとその足でメトロポリタン美術館に立ち寄った(今回額装に使った水色の缶バッチ風の入館証はそのときもらったもので、これを身につけていればその日1日何度でも館内に出入りできるもの。現在では経費削減のためか缶バッチの配布はなくなってしまったそうだ)。

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そしてかつてゲームの『パラサイト・イヴ』をプレイした者として最後はやはりアメリカ自然史博物館で終わりたいと思い(アメリカ自然史博物館はゲームのクライマックスのひとつで、身一つで巨大なT-レックスの化石と戦わなくてはならない)、セントラル・パークを西に通り抜けて、映画『ナイト・ミュージアム』の舞台ともなった自然史博物館でかつてゲームのなかで激戦を繰り広げた恐竜の化石を眺めて、自由な時間の最後を締めた。

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先日かつてそんな風に歩いたマンハッタンの街並みを思い出しながら、rifle paper co.のニューヨークのマップのグリーティング・カードを額装した。カードに使われている色もそうだけれど、ニューヨークというととにかく濃いブルーのイメージがある(あるいはそれはニューヨーク・ヤンキースのイメージかもしれないし、映画でよく見るニューヨーク市警のイメージかもしれない)。そんなブルーのイメージカラーに合わせて青い縁が印象的なフレームを選んでみた。額装のテーマがニューヨークの地図だったので、インターネット上で公開されているニューヨークの古地図(これは図書館がコレクションしている地図を一般公開しているもの)をプリンターで印刷して厚紙に貼り、パッスパルトゥをデコレーションする技法でニューヨークのスカイスクレイパー風にアレンジしてみた。最後にメトロポリタン美術館でもらった入館証をボンドで貼り付けて、作品が完成した。  できあがったあと僕はチェストの上の壁に作品を飾った。それを見るたびに、遠い昔に訪れたニューヨークの街並みを思い出すし、いつかまた彼の地を訪れてみたいなと思ったりする。

*ニューヨークの古地図 – NYPL Digital Collections


2016年06月10日 | Posted in Encadreur N°9 | | No Comments » 

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