Encadreur N°9 – London Calling(ロンドン・コーリング)

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きわめて個人的な話だけれど、いままでいろいろと旅をしたなかで一番好きな街はどこ?と訊ねられたら、たぶんあまり悩むことなくロンドンを挙げると思う。ニューヨークでもパリでもミラノでもなく、ロンドン。もちろん、世界にはまだまだたくさんの赴いたことのない都市があり、なかにはもっと居心地のよさを感じる自分に合った街だってあるのだろうけれど、いまのところイギリスの風土が私にはあっている気がする。

でもそれはロンドンがあらゆる面で優れているからというわけではない。こんなことをいうと身も蓋もないけれど、ロンドンはけっして最先端の街ではない。どちらかといえばやや世界の流行から遅れている古風な慣習の残る街といってもいいかもしれない。そしてよくいわれているように料理はあまり美味しいものではない(なかにはとてもすばらしいお店もあるけれど当たり外れが激しすぎる気がする)フーリガンと呼ばれるフットボールの暴力的なファンの粗暴さ、大衆的なパブのイメージ。蝋人形の館マダム・タッソー。パンクやモッズファッションに街のいたるところに貼られたQueenのポスター。でも、そんなちょっと時代遅れな感じは、日本と同じような島国であったり、左側通行であったり、王室が存続していたりといったいくつかの共通項と同じように私をほっとさせてくれるものだったりする。そこにはマンハッタンのスカイスクレイパーや荘厳なパリの建築物が有するある種の重厚さみたいなもの、その街にいるだけで街と対峙しなくてはならないたぐいの緊張感みたいなものがあまりない気がする。世界有数の大都市でありながらどこか牧歌的な田舎臭さみたいなものが同時に存在している感じといったらいいだろうか。こんなことを書いているとロンドンで暮らす人たちに怒られてしまいそうだけれど。

いま手元にあるのはそんなロンドンの街をモティーフにしたカード。ロンドンを象徴するアイコンを架空のブレスレットのチャームに見立てたイラストが描かれている。こんなブレスレットがあったらいいのにな、と思ってしまうとてもかわいらしいアクセサリー(実際にあったらじゃらじゃらして邪魔そうだけれど)。赤い郵便ポストにダブルデッカー・バス。コウモリ傘にロンドン・タクシー。どれもかわいらしいレトロなイメージとちょっとした気品が感じられる。この赤と黒の丸みを帯びたデザインには何かしら人の心をほっとさせてくれるものがある。

今回はこのカードをカーブしたビゾーを作るテクニックで額装してみた。いつもなら45°の斜断面で作るビゾー部分をロンドン的な丸みを帯びたデザインに変えてみることにした。丸みを表現するために半円にカットされた加工棒を土台に使用し、丸みのある棒のサーフェスを覆うように色紙を貼ることで、丸みを帯びたビゾーを作ったのである。パッスパルトゥ部分には白の紙ともうひとつロンドンの地図が印刷された紙を使った。最後にビゾーとパッスパルトゥのあいだにゴールドのブレスレットと同じ金色のフィレをワンポイント的にいれたらできあがり。我ながらロンドンらしい落ち着いた作品なったと満足している。

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ロンドンといえばやっぱりザ・スミスの歌にも出てくる赤い二階建てのダブルデッカーバス。ほかにも赤いテレフォン・ボックスや郵便ポストなど赤い色のものが多い気がします。

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丸いビゾーを作るため断面が半円に加工された棒を使います。棒を斜め45°にカットするのには額縁用のノコギリを使用。

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スチレンボードで5mmの高さを出した内側にカットした加工棒を貼り付けます。

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和紙に近い薄くて柔らかい紙をビゾー部分に貼っていきます。貼るときは底面から貼り、それから引っ張るようにして貼るとうまくいきます。

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パッスパルトゥにはロンドンの地図が描かれた紙を使いました。よくみるとハイド・パークやらシャーロック・ホームズ博物館といった名所の名前が。

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上に白い色紙を貼ったパッスパルトゥを加えて、仕上げをしたら完成! カードの雰囲気にちかい感じのナチュラルな木のフレームにいれてみました。


2016年06月17日 | Posted in Encadreur N°9 | | No Comments » 

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