Encadreur N°8 – Tour de France ツール・ド・フランス

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ずっと昔に手に入れたジャン=ジャック・サンペの「légère défaillance(おそらく軽度の故障の意)」というタイトルのついたポストカード。これは自転車レース中に故障があって、はるか地平の彼方まで続いていそうな大集団の最後尾に必死に追いつこうとするレーサーの姿をサンペが描いたイラストで、推測だけれどもサンペはフランス人だからきっとこのイラストは「ツール・ド・フランス」を題材に描いたんじゃないかと勝手に思っている。

ここでちょっと説明しておくとたんに「ツール」とだけ呼ばれることもある世界最高峰の自転車レース「ツール・ド・フランス」は1903年に始まった。実に100年以上も続いている歴史ある過酷なレースで、競技者たちはフランス全土、平原からブルターニュやアルプスといった山脈地帯まで(ときには国外まで)を何千キロも走るのである。個人優勝者にはマイヨ・ジョーヌ(黄色いジャージの意)が与えられ、その栄誉を欲して毎年多くのレーサーたちが3週間にも及ぶ肉体の限界への挑戦を試みる。いや、多くの自転車乗りにとっては参加することだけでも、無事にゴールであるパリの街まで完走するだけでも立派な栄誉だと思うものらしい、ということをインターネットを調べて知った。

ひととおり「ツール・ド・フランス」の歴史を学んだら、今度は額装に取り掛かる。今回は45°のビゾーの応用で、Sujet Glissé(スュジェ・グリッセ/ドキュモンをあいだに滑り込ませて挟むというような意味)という技法を使ってみようと思った。

これは45°のビゾーを何段も重ねその隙間にドキュモンを挟むことで奥行きと直線の美しさを演出するテクニックで、カードが奥に見える地平に向かって伸びていくように見える感じがしたから、奥へと続いていくような立体感を表現するために選んでみた。ビゾーの下に貼る1mm程度の細いフィレ部分に、サンペのカードに描かれたレーサーたちのカラフルなスーツやヘルメットの色を参考にして、虹みたいな赤、黄色、緑、青の4色を選んでみた。

できあがった作品はとてもシンプルだけれども、縦に引かれたカラフルなラインが印象的な感じに仕上がったと思う。そして額装のなかのレーサーは今日も最後尾を目指して懸命にペダルをこぎながら走り続けるのである。

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ジャン=ジャック・サンペのポストカード。タイトルは「légère  défaillance(おそらく軽度の故障の意)」。小さくてわかりにくいですが、一団から遅れたレーサーが必死に最後尾に追いつこうとペダルをこいでいるイラストです。

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45°のビゾーを作り、階段のように組み合わせていきます。

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ビゾーのあいだにドキュモンを挟む技法です。あいだに挟むことで奥行きのある立体的な表現を演出することができます。

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イラストに描かれたレーサーの着ているカラフルなレーシング・スーツの色を参考に青・赤・黄色・緑のフィレを作っていきます。

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最初のイメージで仮組みしてみました。これはこれでよいですが、ちょっと左側が邪魔な感じがしました。ささいなことですが、組んでからわかることもあります。

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フレームのガラス受けの厚さを利用して45°のビゾーを横に並べてみました。右方向に向かって段差を作ることでイラストのなかのレーサーが集団に追いつこうともがきながら走っている感じを表現できるかなと思いました。左右の重さのバランスが釣り合わなくなってしまった場合は裏側に滑り止めをつけることで対応します。

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2016年03月25日 | Posted in Encadreur N°8 | | No Comments » 

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