Encadreur N°7 – reindeer トナカイ

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MOMA(ニューヨーク近代美術館)のクリスマスをモティーフにしたポップアップのカードを見つけたのはたしか去年の冬のことだったと思う。そのカードは開くと3頭のトナカイ(reindeer)たちがクリスマス飾りのついた帽子をかぶりながらたのしげに踊っているイラストが飛び出してくるとても凝った作りのカードだった。ほどよくクリスマスを連想させてくれる赤と緑の色使いといい、ちょっととぼけた顔のトナカイたちといい、見ているだけで思わず口元に笑みがこぼれてしまいそうな素敵なグリーティング・カード。

実をいうとずっとむかし本物のトナカイを見たことがある。もちろん、クリスマスの夜にサンタクロースをのせた橇を引いて空を飛ぶトナカイたちではない。彼らは動物園の柵の向こう側にいて、気だるそうに干し草を食んでいるのんびりとした動物だった。たしか小学校の写生大会か何かのイベントだったと思う。普通の子供たちは象とかペンギンとかキリンといった人気のある動物たちを描きにそれぞれの場所へと散らばっていくのに、なぜか子供時代の私は人気のない閑散としたトナカイのコーナーに足を伸ばし、だれもいないベンチに腰をかけて、ひとり退屈そうなトナカイたちの絵を描いたのだった。本当にいま考えてみても変な話だ。なぜって彼らはあの夜空を颯爽と駆ける赤い鼻のトナカイたちとは似ても似つかない生き物だったから。もしトナカイと書かれた立て看板がなかったら、角の長い鹿か何かと間違えていてもおかしくなかったと思う。

そんなことを思い出しながら、もしかしたらトナカイとは浅からぬ縁みたいなものがあるのかもしれない、と思った。無意識にトナカイに惹かれる素養みたいなものがあるのかもしれない。そこで私はこのカードを使って、今度はたのしげなトナカイの作品でも作ろうと思った。

作業はこんな感じで行った。まずポップアップのカードの飛び出す仕掛けをカードから丁寧に切り離して、ボワッタージュと呼ばれる額装の技法を使って箱型を作る。トナカイたちの背景はクリスマスカラーの赤と緑の色紙を使い、モザイクというテクニックでチェック柄にした。ちょっと寂しいなと思われた部分には雑貨屋で買ったカラフルな文字のステッカーを貼って、最後の仕上げにアクリル板に白いマジックで雪の点を描いて作品を完成させる。

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できた作品を棚に飾りながら、私は明日に控えた友人たちとのクリスマスのパーティの準備に取り掛かることにした。今年はきっとたのしい夜になるだろう。私は私のトナカイたちを彼らに紹介してまわる姿を想像しながら口元にそっと笑みを浮かべた。

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MOMAの飛び出すグリーティング・カード。トナカイ(reindeer)のダンスです。日本語のトナカイということばはもともとアイヌのことばだったそうです。

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せっかくの飛び出すカードの仕掛けですが、額装のために分解。足がこんな風になっていたみたいです。この仕掛け自体は額装のほかの作品にも応用できるかも?

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トナカイといえばやっぱりクリスマスなので、赤と緑のクリスマスカラーの紙を選んでみました。

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額装の技法のひとつであるモザイクのテクニックを使ってチェックの柄を作っていきます。

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後ろがちょっとさびしい感じがしたので、たのしい雰囲気になるようにflying tigerのアルファベットのシールを使って飾りを作ります。

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箱型に組み立てて、スーヴェール・ア・オングレのテクニックで縁を作ったら完成!冬なので、前面のアクリル板に白のマジックで雪模様を描いてみました。


2016年01月08日 | Posted in Encadreur N°7 | | No Comments » 

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