Encadreur N°7 – avant//après – ガレット・デ・ロワのフェーヴ

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私の家では新年を迎えると、今年はだれが王様になるのかみんながそわそわしだす。理由はガレット・デ・ロワというフランスの風習で、ガレット・デ・ロワと呼ばれるパイ菓子を家族みんなで切り分けて食べることにあった。このパイ菓子のなかにはフェーヴ(そら豆の意)と呼ばれる陶器製の人形が入っていて、それを見事に引き当てた人がその年の王様で、祝福を受けることになるから。数年前のことだけど、フランスに滞在していた叔父がこの風習を我が家に持ち込んでから、私たちの家ではこれが新年の恒例の行事となった。そして、私は最初にガレットが切り分けられた日のことをいまでもはっきりと憶えている。何しろ、その年王様になったのはこの私なのだから。

そう私が家族で一番最初にフェーヴを引き当てたのだ。きれいに8等分されたガレットの一切れに宝物のようなそれは入っていた。その年はたしかサッカーのワールドカップが世界中で盛り上がっていた年で、フェーヴはそれにちなんでサッカー選手の人形だった。私はパイ菓子を一口かじり、なかに埋め込まれていた陶器製のフェーヴを見つけて取り出した。するとみんなの視線が私の手のひらの上にあるものに集まるのを感じた。すぐに叔父が金色の紙を丸めて作った王冠を頭にかぶせてくれた。「サッカーの選手だね!」と叔父が私の手のなかのフェーヴを見て言った。「きっとフランスの選手なんだろうね」私はサッカーのことなんて何も知らなかったけれど、それでも私の手のなかで小さなフェーヴは光輝いているように見えた。

それ以来、新しい年の1月になると私の家ではどこからともなくガレット・デ・ロワが出てきて、小さな陶器の人形の争奪戦が繰り広げられることとなった。私が引き当てたのはこれまでに2回だけ、ひとつめは前述したサッカー選手で、2つ目は色が少しはげた競走馬のかたちをしたフェーヴだった。

私はこのうちのひとつを額装して飾ろうと思った。フェーヴはとても小さいからポストカードサイズのフレームにぴったりだったりする。手元にあったポストカードサイズのフレームのなかから選んだのがゴールドのフレームだったので、それに合わせてパッスパルトゥにはBox & Needleの金の柄が入ったすてきな紙を選んでみた。ちょっとクラシックな感じのある美しい紙だ。テクニックはシンプルにビゾー・フランセ・オン・フォルムという幅広のビゾーの技法を使った。フェーヴは立体物だから少しだけ高さを出して箱型にして、裏板を作って、仕上げの処理をして出来上がった額装を棚に飾った。

そのとき階下から母の呼ぶ声が聞こえてきた。そう、今夜もまたガレット・デ・ロワの日なのだった。足早に居間へと降りていくと、きれいに切り分けられたパイ菓子のまわりにみんなが勢ぞろいしていた。私は席につくと、最後に残った一切れにフェーヴが入っていることを祈りながらガレット・デ・ロワのパイ生地にかじりついたのでした。

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フランスで新年といえばガレット・デ・ロワ。パイ生地がとてもおいしい、フランスの伝統的なお菓子です。ちなみにRoisは複数形なので王さまたち、キリスト生誕を祝って東方から来た三賢人のことを意味するそうです。

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ガレット・デ・ロワに入っているフェーヴ(そら豆の意)。陶器製のものが多く、いろんなモティーフのものがあります。

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ポストカードサイズのフレームと中にいれるドキュモン(ここではフェーヴ)、それからテクニック部分を並べてみるとこんな感じになります。

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ビゾー・フランセ・オン・フォルムのテクニックでビゾー部分を作っていきます。

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Box & Needleの紙を使ってパッスパルトゥを作り、フェーヴの高さを出すために箱型にします。

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裏板を作って、仕上げの作業をしたら完成! フェーヴとゴールドのフレームの組み合わせだったので、クラシカルな感じに仕上げてみました。


2016年01月22日 | Posted in Encadreur N°7 | | No Comments » 

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