Encadreur N°6 – Les livres “本”

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「だいじなのは、お話の裏にこめられた意味なんだよ、ドローヴ少年。お話ってのはある目的があって語られるもので、その語られかたにもやっぱり目的がある。お話がほんとかそうでないかなんてのは、どうでもいいことなんだ。それを忘れるなよ」

マイクル・コーニィ『ハローサマー、グッドバイ』(山岸 真訳)

本号のテーマを何にしよう?と考えて、ふと、そうだ、秋だから”Les livres(本)”をテーマにしようと思いました。秋といえば読書の秋であると漠然とですが浮かんできたのです。もちろん「秋といえば〜」で始まるものには、スポーツの秋とか、食欲の秋とか芸術の秋というのもありますけど、不思議と読書と額装をかけあわせるのが理にかなっているように思いました。

個人的なことですが、額装よりも読書の方がずっと長い経歴があります。子供のころに読み聞かせてもらったセンダックの絵本にはじまり、ひとりで読めるようになってからずいぶんと多くの本に出会い、多くの経験を本のから学んできました。そんな経緯もあって、本号は本と額装の関係性について考えているのですが、同時に私個人の読書にかんする回想録(メモワール)のような側面も持ち合わせているなと原稿が出揃った時点で思いました。本と額装というものの関係性を問い詰めていったら、結果的にとてもパーソナルな体験が色濃くでてきてしまったというわけです。額装に使えそうな小説のことを考えていくと、しだいによく読んだ本、とくに学生時代に徹底的に本を読む訓練をしたころのことが思い出されてきたからですが。

本はたんに読むだけでなく、そのなかに書かれている本質的な問題と向き合うことでより深く思惟を深めることができるものでもあります。もちろん、額装にも似たような側面があります。ドキュモンや素材の性質をより深く読み解くことで、作品それ自体をより深く理解し、作品の本質的な部分に触れることができるようになるからです。

本号ではまずキャロルの『不思議の国のアリス』のテニエルのイラストをモティーフにした額装をつくる(alice in wonderland)とカフカの謎について考察する(kafkaesque)のふたつの記事から始めます。

それから額装のテクニックの紹介として『ウィニー・ザ・プー(クマのプーさん)』のカードをビゾー・ペロケの技法で作る(technique)。子供時代のヒーロー、シャーロック・ホームズについての思い出を額装する(sharock holmes)。本にかんする額装作品の紹介(samples et documents)と最後にポール・オースターを読んだ思い出を額装するショート・ストーリー(avant//après)を記事にしています。

新しい秋のはじまりに、秋らしい額装とともになにかすてきな本に出会うことができたらさいわいです。


2015年08月27日 | Posted in Encadreur N°6 | | No Comments » 

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