Encadreur N°5 – The Black Cat 黒猫

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Calm Gallery(カーム・ギャラリー)のネコのポストカードをモノトーンで額装する

ネコのシルエットには何にも変えがたいうつくしさがある。なで肩、なめらかなフォルム、ピンとたったふたつの耳、まっすぐに伸びたヒゲ。kartellの繊細なプラスティック製の椅子みたいに細く華奢な足首。長い尻尾。ポイントを挙げればきりがないほど。

そんなネコのシルエットといえば、街のなかにいる黒猫たちのことを思い出す。黒猫はその存在自体が漆黒の影のようで、街のどこにいてもその独特なうつくしい輪郭を浮かび上がらせることができるからだ。それに黒猫は昔から日本やイギリスにおいて、幸福を運んでくれる象徴として大事にされてもきた。もちろん、黒猫が前を横切ると縁起が悪いといった不吉なイメージもあるし、中世のヨーロッパでは魔女の使い魔として怖れられてきたこともあるけれど、それ以上に黒猫には幸運を意味する特別な力が宿っているように感じられるのである。(余談だけれど、漱石の『我が輩は猫である』の主人公の猫のモデルになったのも黒っぽい毛並みの猫だったといわれている)

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で、そんな黒猫の幸運に少しでもあやかりたいなと思ってネコのシルエットがうつくしい作品を作ろうと思った。ドキュモンに選んだのはイギリスのCalm Gallery(カーム・ギャラリー)の黒いネコのシルエットが美しいレタープレスのポストカード。タイポグラフィーになっているMeowとは英語でネコの啼き声のことで、日本だとニャーとかミャーとかになる。ちなみにフランス語だとMiaou。

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せっかくのシルエットの作品なので、モノトーンをテーマに選ぶ。テクニックはドット柄の紙を使って作ったパッスパルトゥ・サンプル(Passe-partout Simple)の技法の上に、白い額のような枠をつける技法。外側の本物の白いフレームに合わせるように、内側にもうひとつのフレームを作ることでふたつの額が存在しているように見せている。額のなかにもうひとつの額縁を作ることで、単純なパッスパルトゥ・サンプルの技法に小さなアクセントをつけることができるというわけだ。小説の世界では作中作という小説内に別の小説をいれるという手法があるけれど、これと同じように額縁のなかにもうひとつの額縁を作って、マトリョーシカみたいな入れ子構造を作ることで、シンプルな作品にもちょっとした複雑さを表現することができるようになったりする。モノトーンの作品だとあまり複雑な技法を使っても色彩の変化の乏しさから大きな効果が期待できないことが多いので、こうしたワンポイントのテクニックで変化をつけることが有効になる。

パッケの作業を終えて白いフレームにいれたら黒猫の作品が完成。できた作品はリビングの壁面に飾ることにした。何かしら黒猫が持つ幸運の欠片にあやかれることを期待して。


2015年06月23日 | Posted in Encadreur N°5 | タグ: No Comments » 

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