Encadreur N°10 – les pains

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パン屋の扉をくぐるとつい心が躍ってしまうのを抑えることができない。そこにはいくつもの種類のパンが並んでいて、そのひとつひとつがまるで宝石のように輝いて見えるから。入り口で薄いプラスティックのトレイとステンレス製の小さなトングを手にすると、まるでおもちゃの山を前にした子供みたいに端から端までを見てまわりたくなり、できるなら棚にある全部を手に入れたいと思ってしまう。バゲットの束に素朴な感じのパン・ド・カンパーニュ。バターたっぷりのクロワッサンに視線を釘付けにされることもあるし、オリーヴやイチジクの入った天然酵母のパンに心を奪われてしまうこともある。あるいはパン・オ・ショコラとかジャムを挟んだ甘い菓子パンでもいいし、ハムやチーズを挟んだサンドイッチを選択する自由もある。お店によってはマドレーヌやフィナンシェなんかの焼き菓子が手招きでもするみたいに小さなカゴに入って置いてあったりもする。とにかく誘惑が多いのだ。

調べてみるとパンの歴史はとても古いことがわかる。『イリアス』や『オデュッセイア』で有名なホメロスのいたギリシャの時代から現代とそれほどかわらないパンが存在していたという事実には、ちょっと驚かされる。ギリシャ時代の英雄たちもまたオリーヴやドライフルーツ入りのパンを食べていたのかもしれないと想像するとある種のロマンを感じることだってできる気がする。そして、そのようにして生み出されたパンは今日にいたるまで世界のあらゆる場所で改良が加えられ、独創的な数々のレシピが考案され、小麦の品種改良やら石窯の進化、嗜好性の探求といったことが起きて、それこそ宇宙に散らばる星の数ほどの種類が生み出されることになった。ぼくらにとってはとてもありがたいことに。

話を戻そう。ぼくは散々悩んだ末、オリーヴやイチジク入りのパンの誘惑をふりきって、いつもと同じ朝食用のバゲットとクロワッサンをいくつかトレイに乗せて勘定を済ませ店を出た。パンでいっぱいになった紙袋を手にすると、それだけでしあわせな気分になった。家に帰りついたぼくはそんなパンを抱えたときに感じた小さな幸福感を何かのかたちに残しておきたいと思って、パンをテーマにしたイラストのカードをドキュモンにして額装をひとつこしらえてみた。それが上の写真の作品。不思議なことだけどパンをテーマに額装をすると、無性にパンが食べたくなるみたいで、仕方がなくなったぼくは朝食用に買ってきたばかりのクロワッサンを袋から出してひとつ食べた。そして、口のなかでそっとその魔法のようなバターの味をたのしんだのだった。

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まずカードに合わせた厚紙を用意します。使うのは1mm厚と2mm厚の厚紙。それから5mm厚のスチレンボード。

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ビゾー・ペロケの技法のアレンジを作っていく予定なので、設計図を参考にして厚紙を順番にカットしていきます。

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土台の部分はこんな感じ。一番上と一番下がパッスパルトゥ、であいだの部分がビゾーになります。横に斜めのラインをいれてあるのが今回のアレンジ部分ですね。

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ビゾーの色紙を貼っていきます。このあたりはビゾー・ペロケの技法をちょっとだけ工夫して作っていきます。

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テクニック部分の一番下にあたるパッスパルトゥに色紙を貼っていきます。今回のドキュモンはパンなので、パンの内側の「クラム(気泡の入ったやわらかいところ)」をイメージして白い色紙を貼ってみました。

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パッスパルトゥ、ビゾーのテクニック部分のパーツをボンドで貼り合わせていきます。できたパーツを組み合わせるとこんな感じになります。

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アクリル板、テクニック部分、ドキュモン、裏板を重ね合わせて、パッケの作業をします。クラフトテープで包んだら、側面に1mm厚の厚紙を貼って補強をします。

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スーヴェール・ア・オングレの技法で縁を作ったら完成!ビゾー・ペロケのテクニックをアレンジした額装作品の完成です。

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2016年09月23日 | Posted in Encadreur N°10 | | No Comments » 

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