book, book, book, book, 「ミレニアム」シリーズ

DSC04198

ずっと読むことを敬遠してきたスティーグ・ラーソンの「ミレニアム」シリーズ。

ずっと読まないできたのは、流行りものは発売と同時になるべく読まないようにする、
という個人的取り決めみたいなものに従っていたからです。

ほんとのところは街の本屋で平積みされているのを見るたびに、
読みたいなあという気分を抑えなくてはならなかったのですが。

ただ流行をあとから追いかけることの利点は、
それが続き物の場合、全部揃ってから読むことができるので、
続きが出版されるのを待つ必要がなかったりする、
ということがあったりします。(あと安く買えたりすることも)
このミレニアム・シリーズは(いろいろなところで書かれていますが)作者のスティーグ・ラーソンが亡くなられてしまったので、続編はあるけれど、一応3部までという感じなので、いっきに3部(全6巻)まとめて読むことができました。

読んだ感想は一言でいうとすごくインターネット的な小説だなという感じです。
これは同じく流行りものだったので最近まで読むのを拒んできたジョン・ハートの著作にも共通するのですが、とにかく過去と現在の情報がブラウザでリンクを辿っていくように次々に出てくるので、その流れに食らいついていくうちに話がどんどん進んで、気づいたらいつのまにかゴールに着地しているという感じになることです。おもしろいのは、第1部は密室殺人事件、2部と3部は続き物になっているのですが、1部の探偵小説的な視点からぐっと変わって、2部と3部はサスペンス、ハードボイルド、法廷ものなんかがごちゃまぜになったエンターテイメント作品になっていることです。ほぼ同じキャストでいろんなジャンルの小説に展開していくというのはおもしろいアイデアだなと思いました(基本的にシリーズものはジャンルを変えないのが約束事として存在していましたから)。それに1部だけをとってみても通常の密室殺人の推理小説とちがい、大枠に主人公が巻き込まれた裁判があり、そのなかにマトリョーシカのような入れ子構造で過去と現在の密室の推理が存在していて、一筋縄ではいかないかたちになっています。同じ登場人物が(”過去と現在”や”ふたつの異なる場所”で起きた)いくつかの事件に共通して関わっているため、x軸やy軸といった縦横のつながりだけでなく、時間や異なるフィールドといったz軸を意識して事件の進展を注意深く読み解いていく必要があるわけです。この感じがすごくインターネット的というか、新しい感覚で書かれた小説なんだなと思います。昔のシャーロック・ホームズみたいなひとつの作品=ひとつの事件という形式ではなくて、いくつかの事件が主人公を中心にしてウェブのようにつながっていてより複合的になっているといったらいいでしょうか。とにかく次を読みたくなるという感じは久しぶりに味わったなつかしい感覚でした。

作品とは全然関係ないですが、作品の舞台はスウェーデンで、読む前のスウェーデンの知識といったらイケアとH&Mとteenage engineeringとタバコが高いこと(という認識を昔持っていました)とスカンディナヴィアン・デザインくらいしかなかった、、、のですが、やはり本を読むと登場する人物以上に登場する土地のことを知りたいなという気分になります。ただたしかポール・セローという作家が、本を読んで頭に思い描いた都市に旅行でいくと幻滅する、、、というようなことをどこかで書いていたので、旅行でいくのはやめた方がいいのかもしれません。(これも関係ない話ですが、めずらしくこの作品では現代を扱っているのに作中の登場人物がかなりの確率でタバコを吸っていました。なかなか興味深いポイントかもしれません)

 


2015年09月03日 | Posted in Book | | No Comments » 

関連記事