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3月も終わりに近づいてきたので、読んだ本の紹介。

買ったのは昨年のことで、アントレ□ソルティのとなりの本屋さんだったと思います。選んだ理由は表紙の写真があまりにすてきだったから。雨の中、氾濫した川のような水たまりを避けるために椅子をわたって歩く姿になんともいえない不思議な気持ちを覚えました。モノトーンというのも惹かれたポイントです。タイトルもまたいいですよね。「そんな日の雨傘に」。作者の方は名前すら知らなかったですが、そんなことは関係なく手にとっていました。で、ジャケ買いならぬ表紙買いをしたわけですけど、内容もかなりよかったです。(とはいえ、買ってから1年くらい忘れていたんですけどね・・・)

内容を書くのはあれなので、作中で思わずわかるなあと共感した文章を載せておきます。

「父は、十六の歳から死ぬまで働きつづけたことをことのほか誇りにしていた。そりゃあ誇れもするわな。働いているうちは、そして働くことによって、自分の抱える葛藤を忘れられる人だったのだから。私といえばその正反対。働いているうちは、そして働くことによってはじめて、心に葛藤が生じるのだ。だからしてやむなく働くのを避けている。両親等はこういう事例への理解をまったく持ちあわせていない。」

「メッサーシュミットが私の謙遜について思案するのかと思うと、私の高慢がうずく。いずれにしても彼は気づいていないのだ、私という人間は、この人生のいついかなる時期においてもなにかを隠していられるときだけ安心できるのだ、ということを。」

作中はほとんど主人公の心の声(ようは大半が愚痴)が続くのですが、時折、自分と他人をはなれたところから俯瞰して見るような表現が飛び出してきて、それがまた独特のユーモアを含んでいることが多くて、思わずうんうんと頷きたくなりました。

ここ何年かは、個人的な趣味もあって外国文学を読むことが多いのですが、今回読んだ「そんな日の雨傘に」のように作者のことをほとんど知らないで手にとることが多いです。日本で外国文学を手にする場合(洋書は別として)よほど有名な作家さんでないと、たいていの場合翻訳されるのはどこかの賞を取った代表作一作だけということが多いので、同じ作者のほかの作品とかをリストにして選ぶようなことがほとんどできません。そういうこともあって、外国文学の本を探す場合(いまではインターネットでけっこう情報を集められるようになりましたが)、数少ない情報から自分の好みの作品を見つけ出さなくてはならないことが多く、嗅覚のようなものを鍛える必要がでてきたりします。僕の場合だと、選ぶポイントとなるのは「〜賞受賞」などの帯の文章、、、ということはほとんどなくて、どちらかといえば装丁とか、表紙に使われているイラストとか写真、それからデザインなどビジュアル的な側面であることが多いです。名は体をあらわすということばがありますけれど、表紙に一目惚れして買ってしまったという本がけっこうあります。(もちろんジャケ買いの常で失敗の方が多かったりもしますが)

今回の本はそんな感じで表紙から選びましたが、ほかのポイントとして、翻訳者で選ぶというのがあります。好きな翻訳者さんが訳された作品とかだと、心のどこかでああこの人が訳している(選んでいる)んだからそこまで悪い作品じゃないだろうな、と勝手に思ったりするわけです。翻訳者つながりで選んだ本がたまたま自分にとって当たりだったなんてこともあるので、こうした選び方をしてみると思いがけない作品と出会うことができたりするのでおもしろいと思いますよ。


2015年03月30日 | Posted in Book | タグ: , , No Comments » 

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