avant//après – アメリカワシミミズクのグリーティングカード

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ミミズクとフクロウのちがいがわからない。辞典を調べると耳のような羽角が持っているのがミミズクで、丸い頭をしているのがだいたいフクロウだということらしい。とはいっても、すべてがこの例に当てはまるわけではないらしくて、立派な耳を持つフクロウもいればかわいらしい耳しか持っていないミミズクもいるそうなのだ。なんていいかげんな分け方なんだろう、と私は膝の上に広げた辞書を眺めてそう思った。

そんな風に辞書を開いてミミズクだのフクロウだのを調べたのにはもちろん訳があって、それは遠くで暮らす友達から一通の手紙が届いたことが原因。彼女が友情の証にと送ってくれたその手紙はオレンジ色のダイカット(型抜き)されたグリーティング・カードに挟まれていて、辞書の意見が正しいのだとすればそれはミミズクのグリーティング・カードだということになる。そのミミズクのカードはちょっと凝っていて、なんときちんと畳まれた翼のあいだに二つの小さな切り込みがあり、友人はその細い隙間に折り畳んだ手紙を挟んでよこしたのだった。それにしたってミミズクとフクロウ、なんて紛らわしいんだろう、と私は思い、彼女にとっての伝書鳩であるミミズクのカードをもう一度手に取ってじっと眺めた。

海を越えるという長旅のせいか、そのミミズクはとても疲れているように見えた。これでお役御免というのは少々かわいそうな気がした。何しろ、このミミズクだかフクロウだかは私たちの友情の架け橋となってくれたのだ。そこで私はこの鳥のために立派な家を造ってあげることにした。つまりは額装のなかにいれようと思ったってわけ。

まず私がやったことは鳥類図鑑を広げてこのミミズクの特徴を調べ上げることだった。どんなところに暮らしていて、どんなものを食べていたかを理解して、せめても快適な場所で過ごさせてあげたいと思ったのだ。電話帳と同じくらい分厚い図鑑を広げたら、じゃーん、このカードがアメリカワシミミズクとそっくりなことに私は気づいた。アメリカワシミミズクといえば、メアリ・マッカーシーの小説『アメリカの鳥』の冒頭で、主人公のピーター・リーヴァイが森のなかでその姿を探そうとした猛禽だ。ワシミミズクは森の奥で暮らしているんだと私は思い、彼らが暮らす薄暗い森を頭に思い浮かべ、その生い茂った樹木のように濃厚なグリーンの紙を下地の紙にすることに決めた。

それから黄色いパッスパルトゥを型抜きされたカードのフォルムを補強するように切り抜こうと思った。テクニックはビゾー・クラシックをちょっとアレンジすればいい。ビゾーには樹々の幹を想起させるブラウンの色をはさむことにして、作品の縁には灰色のミミズクの羽毛みたいなスキバルテックスを貼ればいいだろう。

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休みの日に一日かけて作品を作り終えたあと、私はふとカードのまんなかに”woot”ということばが書かれてあることに気づいた。どうやら手紙のことにすっかり気を取られていて気づかなかったらしい。woot? 私はそのことばがわからなくて今度はインターネットを駆使してその英単語の意味を調べた。どうやら「やった!」というときの叫び声の意味らしかった。私はひとり部屋のなかで「woot!」と口のなかでつぶやいてみた。「woot!woot!」。すると額装のなかで居心地よく羽を休めているワシミミズクがその賢者のような険しい顔をゆるめて同じように「woot!」と小さく微笑んだように私には思えた。


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